第4回 「進行した白内障」

近年は手術時間も短くなり、患者様の負担が少なくなったことで白内障手術を希望される方は増えてきているものの、今でもやはり眼の手術ということで恐怖心をお持ちの方も少なくはありません。
「手術を受けよう!」と決めてからも、ギリギリまで悩まれる方がいらっしゃいますが、先延ばしにしても手術のリスクは高まるばかりです。
今回は手術のタイミングを逃し、結果的に緊急性の高くなった症状についてのお話です。

・ 水晶体が真っ白に・・・

見た目にも水晶体が真っ白に進行した白内障では、水晶体が溶け出して強い炎症を起こす場合があります。
激しい痛みや充血を伴い、時間が経つほど悪化するので緊急手術が必要になります。
ここまで白くなってしまった白内障を放っておくと癒着や混濁などの後遺症が残ることがあります。

・急性緑内障発作を起こすことも

白内障が進行すると水晶体は徐々に膨らんでいきます。
すると水晶体は虹彩を後ろから押し上げるような形になり、眼球内の水(房水)が排出される下水口(隅角)が狭くなります。この下水口が完全にふさがると眼圧が一気に上昇していきます。
この症状が急性緑内障発作です。
発作が起こると頭痛・眼痛・吐き気などの症状を招くことから早期の手術が必要になります。

眼軸長とは眼球の奥行きを意味します。白内障手術の時には濁った水晶体を除去して新たに眼内レンズを挿入します。眼内レンズの度数を決めるためにはこの眼軸長を正確に測る必要があるのです。眼軸長を正確に測定できるのはレーザー光を使う方法です。ですが白内障が進行しているとレーザー光が通らなくなり、この方法での測定が困難になります。
眼軸長の測定が困難になるまで進行した白内障の場合、正視を狙ったのに遠視、もしくは予定よりも強い近視が残るなど難易度が高まります。
白内障の多くは年齢とともに進行していきます。
いずれは手術による治療を行わなければなりませんが、タイミングを逃すことで色んなリスクを背負う可能性があります。
視力に異常を少しでも感じたら眼科をぜひ受診してください。

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