第20回 「強度近視について」

今回は、視力でお悩みの理由として多い強度近視についてのお話です。

近視って病気なの?と言われる方もおられますが、強度の近視については別名「病的近視」と眼科のカルテ上で記載されることもあります。

強度近視の目安としては、度数が−6.00以上、目の前後の長さ、つまり眼軸が26ミリを超える眼のことを一般的に強度近視と判断しています。

あくまで目安ですが、目を細めたりせずに遠くから指を目の前に近づけて眼前11㎝くらいに来ないとハッキリ見えない状態ですね。

強度近視の中には−10.00以上の方も多く、年齢的にも様々症状が出てくる可能性も高くなります。こうした状態が「病的近視」と言われています。

強度近視の眼はもともと見えにくい状態なので、病的な症状が現れても自覚しないことが多い

強度近視の原因には多くの場合、眼球が大きくなることが挙げられます。

眼球が大きくなると眼球を構成している壁が薄くなります。
壁の内側には網膜と言われる光を感じる大切な膜とそれを栄養している脈絡膜が張り付いていて、これが薄く引き延ばされていくと色んな合併症が生じます。

中でも多いのは、皆さんもよく耳にする「網膜剥離」です。

眼科での検査において網膜剥離の手前と言われる「網膜裂孔」が見つかるケースがありますが、その場合はレーザー治療で裂孔箇所を塞ぎ、経過観察をしていきます。

強度近視の眼はもともと見えにくい状態なので、病的な症状が現れても自覚しないことが多いと言われています。

ですので、−6.00以上の近視で視力が上がり難い方は、是非眼科を受診して自身の眼の状態を確認されるのが良いかと思います。

−8.00以上の近視の約90%に何らかの病的な異常が認められると言われているそうです。

日本人の統計ではメガネの度数が−8.00以上の近視の約90%に何らかの病的な異常が認められると言われているそうです。

ちなみに強度近視の方の白内障手術を行う場合、眼内レンズの合わせ方も患者様のライフスタイルによって選び方が変わります。

・メガネを常時使用し、コンタクトレンズは使用していない。

・近方を見るときにはメガネを外すことが多い。

上記に該当する方は原則、眼内レンズは近方に合わせます。

・メガネは殆ど使用せず、コンタクトレンズ中心の生活を現在も続けている。

・近方を見るときはコンタクトレンズの上から近用メガネを掛けている。

・今後も普段はメガネを掛けずに日常生活を過ごしたい。

上記に該当する方は近視であっても眼内レンズは遠方に合わす事があります。

何れにしても手術は原則、左右一回だけ

白内障適齢期の方の多くはコンタクトレンズを卒業してメガネに切り替えている方も多いので近方に合わせる方が多いですが、手術を機に今までメガネやコンタクトレンズで苦労してきたので遠くを裸眼で見たいという願望から遠方合わせを選ぶ方も時折いらっしゃるようです。

何れにしても手術は原則、左右一回だけですし、入れ替えはリスクにしかなりませんので慎重に決めなければなりませんね。

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